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 俳句の壺エッセイ
 第5回 インターネットの向こうに居るのは人
(2021年6月掲載)

 
涼野海音(晨)
 
私は、今までいくつかの結社(俳誌)に所属しつつ、インターネット句会や郵便出句を主たる勉強手段にしてきた。そして空白期間なく十五年間、俳句を継続している。この十五年の間に俳誌の終刊や身近な句会の閉会を見てきた。

地方で俳句を継続している現役世代は、私のような勉強方法を取っている人たちが多い。結社の句会に近いところに住んでいなければ、対面式の句会を重視している現役世代は少ないように思われる。

インターネット句会の長所は、時間的な制約や地理的な制約を超えて、全国の人たちと句座を共にできるところだ。これが現役世代を確実に俳句に呼び込んでいる。

一方でパソコンやインターネットの知識がなければ参加しにくい(参加できる年齢層がある程度決まっている)、ZOOMが使えなければ参加者の顔が見えにくいという短所もある。

たとえ文字や画面上だけのやりとりでも、参加しているのは人であることは言うまでもない。 だからインターネット句会は、対面式の句会と同様に参加者の句歴に大いに左右される。初心者ばかりで点取りゲームのようなインターネット句会がある。その一方で結社の主宰や同人クラスが参加している本格的なインターネット句会もある。

またインターネット句会でも、対面式の句会と同様に、投句締め切りの厳守、欠詠時の連絡など、基本的なマナーを守ることが大切である。私は今まで多くのインターネット句会に参加してきたが、これらのマナーが守られている句会ほどレベルが高く、会員の定着率も高い。

俳句に使うお金や時間の問題をうまく解決しつつ、レベルが高いインターネット句会を活用することが俳句を継続する秘訣である。


 

涼野海音
1981年高松市生まれ。香川県高松市在住。現在「晨」同人。現在、超結社句会「高松・木の芽句会」幹事、「香川・灯台句会」代表。超結社通信句会「雫の会」「輪の会」「灯の会」幹事。香川で毎月、約百名と句会。
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